概要・年表

平成の黄金時代

❝春に強い明大❞の異名

5年続けて必ず優勝

 

平成4年から5、6、7、8年と5年つづけて明大は春、秋いずれかのシーズンに優勝するという充実した年がつづく。
 
 特に4、5、6年はともに春のリーグ戦に優勝。「春に強い明治」の異名を頂戴するほど不思議と春に強かった。
 
 まず5年の春。「投手陣が経験不足だったが、野手がそろっていたので、ある程度やれると踏んでいた。でもそれ以上に、これまでのやらされる練習から、やる練習へと選手たちが脱皮したのが大きかった。」とリーグ戦終了後別府監督が語っていたが、その通りチーム全体にやる気がみなぎっていた。
 
 4年春の優勝の立役者だった佐々木、窪田両エースの卒業は確かに大痛手だが、3年生になった大淀が投手陣の軸としての働きをみせ(8試合に登板、完投3、5勝無敗、防御率1・71)さらに最上級生森岡の3勝と、7試合すべてリリーフ登板して1度も失敗せず(1勝1分け)防御率も1・64の徳丸。とても2年生で、しかも連盟登録の時は外野手だったとは思えない大活躍だった。
 
 このシーズン明大ベンチは、大淀が完投した3試合(早明1回戦、同3回戦、明立1回戦)と、森岡が完投した明法3回戦だけだが、明立3回戦、早明1回戦はみごとストッパーの働き見せた。
 
 チーム防御率2・12はリーグ1位だが、リーグ戦経験の少ない投手陣、それも継投の多い試合を乗り切ったのは好捕手柳沢のリードに助けられることが多かった。柳沢はユニバーシアード大会、ハワイ国際大会に選ばれ、春秋つづけてベストナインに選出されたのも当然だろう。
 
 スタートの明東戦は17-0,14x-4と大勝したが、鳥越の連続ホーマーを含む22本の長短打が炸裂したから。早明戦は2回戦こそ落としたが、1、3回戦に大淀がいずれも6安打、1点という僅少点に抑える完投勝因のすべて。
 
 宿敵早大を連覇したことでチームは波に乗った。明立戦は1回戦が1-1の引き分けに終わったが、2,3回戦は得意の継投でかわし、伝統の慶明戦も連勝。最後の明法戦で勝ち点をとれば完全優勝。
 
 しかし1回戦は大淀、大崎の投手戦で延長戦に。2-2で迎えた11回、法大が田中の本塁打で1点リードすると、その12回表の二死二塁のピンチも徳丸が好リリーフして、規定により12回で引き分け。
 
 しかし2回戦は森岡の好投で10-0と完勝。3回戦は大淀が打たれて2-3とリードされたが、またしても徳丸の好リーふと、原田の2点タイムリーや、中村のホームランで逆転、26度目の優勝を手にした。
 明法戦の勝利でも分かるように攻撃面でもリーグNO1のチーム打率(2割9分2厘)が示すように打ちまくり、とくに打率5割、3ホーマー、18打点でリーディングヒッターになった中村。同2位の花岡(4割2分9厘、15打点)2人が打線を引っ張ったことは見逃せない。
 
 柳沢、原田、中村、花岡と4人もベストナインに選ばれたのはむべかるかな。
 
 7月9日から米国のバッファローで開かれたユニバーシアード大会に大淀-柳沢のバッテリーが出場したのは紹介した通りだが、7月19日から同じアメリカで開かれた第24回日米大学野球選手権大会には大淀投手、鳥越内野手が、8月4日からハワイ国際大会には大淀、徳丸投手、柳沢捕手、内藤、原田、鳥越の各内野手、花岡、中村両外野手の8選手と、国分コーチが東京六大学選抜チームに参加した。
 
 また第42回全日本大学選抜チームに東京六大学代表として出場した明大は、シードされて1回戦不戦勝。2回戦で北海道地区代表の札幌大に7x-1と大勝したが、準々決勝で神奈川大学リーグ代表の関東学院大学と対戦、0-2とシャット負けした。
 
 秋のリーグ戦は春の覇者明大の要望が通じて、久し振りに日程が9週制になり伝統のカード早慶戦のほかに、春の1,2位の早明戦と、同1、3位の明法戦が単独で組まれることになった。このシーズンではかつて故島岡監督が強く主張して実現したことがあり、別府監督としては春の優勝を機械に恩師故島岡監督の遺志を実行したことわけだ。
 
 秋のリーグ戦はまず明立1回戦に連勝で勝ち点を取る順調なスタートだった。
 
 単独カードとなった3週の明法戦は2回戦こそ落としたが、1,3回戦は大淀が頑張って完投勝利。つづく慶明戦は1回戦に大淀が6回半ばで降板3-7で敗れた。大淀にとってはリーグ戦初黒星、連勝は10で止まったが、リーグ10連勝は戦後の明大で初めての快挙。
 
 2回戦は7回表原田の逆転2ランでリードを奪うと、9回無死で先発森岡がヒットを許したところで徳丸にスイッチして慶大を振り切り、3回戦は森岡-岡田のリレーと16安打の猛攻で8x-1と快勝。明東戦もストレート勝ちして勝ち点4。一方早大は法大にストレート負けして明大の連覇が濃厚になった。この時点で8勝2敗、残る早明戦に1勝すればいい。
 
 ところが第8週の早明戦は1回戦が延長12回0-0の引き分け。早大は織田、滝口、徳丸とつないでお互い一歩も譲らない。2回戦は1回表明大が一死い、1、3塁の好機を原田の1塁ゴロで2人の走者がアウトになる拙攻が響き、早大の織田を立ち直らせてしまったのが敗因となった。織田の2ランが決勝点となるなど、織田の投打にわたる活躍で星を落とした。
 
 3回戦は1回早大が仁志の中犠飛で1点を先取すれば、明大も代わった織田から柳沢が左翼席にホームランを打って同点。しかし9回に決勝点を奪われて優勝の行方は早慶戦にもつれ込んだ。
 
 早大は早慶戦に連勝すれば優勝。1敗でも(2勝)すれば、明大とプレーオフになる。早慶1回戦は延長12回1-1の引き分け。だが、2,3回戦と早大がともに1点差で勝ち、明大の連覇はついえた。
 
 明大では3割6分1厘7毛(47打数、17安打)の野村克則が慶大の山下とともにリーディングヒッターになり、柳沢とともに満票でベストナインに選ばれた。
 
 なお明大は10月16日の明東1回戦に勝って、リーグ戦通算850勝となった。
 

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